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2008年02月16日

古書店、司書必見!

 最奥地であった道東北は開拓が遅れ、北見東部四郡の殖民事業が本格的に始動したのは明治20年代後半からであって、江戸末期から維新後の近代黎明期までのほとんどは藤野漁場の手によるものだった。ここでは町村史を除いた明治・大正の代表的な郷土文献を挙げる。

①網走管内殖民期の主要文献ベスト20点+1

    発  行  年    書        名           著   者    備  考
1   (明治4年)    北見州経験誌            松本 十郎   新しい道史
2   (明治12年)   北地履行記              酒井 忠郁    
3    明治16年   北海道紀行              吉田 健作   新しい道史 
4    明治19年   旧事録
5       20年   藤野家履歴                       根室市史
6       29年   北見事情               神田芳太郎
7       24年   北海道殖民地選定報文完              復刻本有り
8       26年   開拓指鍼北海道通覧        久松 義典 
9       27年   北海道實業人名録          松井 十郎   
10      31年   北海道殖民状況報文北見国    河野 常吉    復刻本有り
11      32年   網走港※1              貴田 国平    復刻本有り 
12      43年   北海之新天地            吉田 民鉄 
13      45年   北見之富源             貴田 国平 
14   大正 1年   北見繁栄要覧            菊池鈍二郎    復刻本有り
15       2年   北見発達史              大場篤三郎
16       3年   網走築港調査書※2        東条  貞     復刻本有り
17            北見と人物              都香 北州    復刻本有り
18       5年   北見要覧               安藤  誠
19            北見之林業             東条  貞 
20            網走支庁拓殖概要(~7年)   網走支庁      他年有り
21      6年   網走外三郡物産共進会報告   残務取扱事務所 写真帖ほか
             注)復刻本は網走港修築意見書・網走港湾調査報文並びに※1と※2の3巻
②文献の概要
1.松本判官が根室在勤中に斜里郡から宗谷郡まで視察したときの日記。
2.開拓使官吏の酒井が札幌より日高、十勝、根室、北見、天塩を巡回視察した報告書。
3.内務官僚時代の吉田が道内を視察したときの記録。吉田は北海道製麻の創設者。
4.藤野家の網走支店が開拓使網走郡出張所に提出した報告書。
5.天明元年から明治20年までの藤野家の活動の編年記録。
6.どちらかいうと宗谷に比重を置いたもの。漁家・商家、旅館などの人名録が有用。
7.北見調査は明治22年。地理、土性、用水、運輸などの基本情報を掲載。同30年第三報文まで有り。
8.久松は北海道毎日新聞の記者。特に漁業に詳しく実業家や村総代などの人名録が有用。
9.網走地方は明治26年12月末現在のもの。当時の実業名士録。
10.明治29年に地理、気象、産業など村落ごとに実地調査した詳細な記録。
11.網走港修築請願のために編纂された要覧。
12. 筆者も閲覧したことがない、極めて稀少な一品。
13.網走線開通を記念する北見東部四郡の概覧。有力者の経歴などに詳しい。
14.網走~池田の開通を記念した要覧。写真と広告が多い。
15.北見之富源・北見繁栄要覧とで3部作と云える。産業について詳しい。
16.網走港修築を祈念したもの。港湾調査書のほか貴重な資料が多い。
17.北見東部四郡の名士録。写真と広告が多い。
18.網走外三郡物産共進会での北見東部四郡の拓殖概覧。広告が多い。
19.北見木材大会の記録。活況を呈した北見林業界を知るに有用。
20.この外、いくつかの同種文献があるが本書にはかなわない。
21.共進会受賞者ほか、当時の有力農業者の氏名が一覧できる。      第15回オホーツク郷土文献目録(改訂第60回)

北海道の歴史,北海道の文化,北海道文化財保護協会,http://turiyamafumi.kitaguni.tv/







  

Posted by 釣山 史 at 08:50Comments(0)古書籍・古本