さぽろぐ

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2010年03月05日

マガレイのお値段

§もんべつマガレイの価格
 ~実際に「もんべつマガレイ」は高値なのか?
 …消費、価格が下落を続ける「お魚」をマガレイを通して解説する。

 よく紋別産のマガレイは高値で取り引きされる(?)と云われますが、私もずいぶん昔ですけれども、札幌の大手スーパーのお魚屋さんで働いたことがあり、確かに「もんべつマガレイ」として売っていました。ここでは消費地・札幌市の中央卸売市場での価格を、網走管内産とその外とで比較してみます。
 それが表1となりますが、実際、網走管内産が高値を示しており、流通コスト外は勿論ありますが、それはコスト高であっても「売れる」ということです。
 表2と表3は、地元の産地市場を管内で比較したものですが、直近の表3の場合は、近隣に比べて紋別市場が高値にあります。しかし、さらに5年間を遡ってみますと表2ですが、価格は逆に下回っていて、これらから漁業種や季節などの条件を勘案しないときに、いちがいには地元では、反映されていないことが分かりますが、また、このことから平成15年に何らかの価格付けの変化があったことが考察されます。しかし、総じてマガレイの単価は明らかな下落傾向にあり、伝統的な「マガレイ漁」を維持して行くためには、価値(価格)アップのための何らかの施策が必要です。

―では、なぜ、価格が低下しているのでしょうか?

 図1-アを見て頂くと国内消費仕向量が、平成13年をピークに下降に転じており、図1-ウでは、平成18年には、お魚とお肉の摂取量が逆転してしまいました。この10年間で、お魚の摂取量が15%も減ったのです。そして図1-イはさらにショッキングなデータでして、現在の30代の主婦の約7割は魚を捌かない、つまり「お頭つき尾つきの魚」は買わないという状況にあるのです。
 そのうえ、現在のスーパーなど大型店の画一的で限られたお魚の販売方法が影響し(安定的に供給を受け、安定して売れる)、店頭でのお刺身やお総菜に馴染まない(馴染んでいない)、カレイなどは、なおのこと消流が難しいものとなってしまいます。札幌市場でのデータを見ると、図2-ウですが、平成13年以降の仕向けで、鮮魚の単価だけが下落しており、表4ではマガレイのみが大きく下降しています。
 しかし、図3-アと図3-イ、図4-アを見ますと本当は日本人が「お魚好き」であることが分かり、はてさて、この意識と実際の購買行動とのギャップに、消費向上のヒントがあると考えますが、図4-イでは、マガレイが他のカレイに比べても既にブランド力を失っていることを示し、これは家庭の調理だけではなく、流通においても取り扱いのしやすい他のカレイが好まれているからとも思われます。
 最後に近々のデフレによる「消耗戦」の具体例を以下、月刊「水産北海道」のホームペイジのコラムから引用し、終りのご挨拶に換えさせて頂きます。


 コープさっぽろの惣菜売場は、もはや「百円均一」ではなく、「50円均一」である。一本あるいは一個50円の串ものや揚げ物で溢れている。同時に、その商品政策(マーチャンダイジング)は食品売場全体にも浸透しており、魚売場では一尾30円台の解凍サンマが並び、冬から春に豊漁で良く売れたハタハタなどは、100グラム40円以下で売ったという。鮮魚担当者も驚くほど「相場が崩れている」。
 前浜の鮮魚にしても、ホッケが一尾100円、マガレイが100グラム50円と価値観を失うような安さだ。
  中 略
 コープさっぽろの水産部担当者によると、水産物供給は、数量が前年同期を上回っているが、金額は伸び悩んでいる。「単価が安く金額が低い」「安いから売れている」といった状況だ。ライバル店のアークスグループ(ラルズ)との熾烈な価格競争が低価格化に拍車をかけている。


-主な参考資料-
 平成20年度水産白書
 平成20年度北海道消費生活モニター価格動向調査
 NHK放送文化研究所世論調査部「日本人の好きなもの」2008年
 札幌市中央卸売市場統計
 北海道水産現勢 
 月刊 水産北海道 ほか

                   第169回 鮮魚の消費低迷    北海道の歴史,北海道の文化,北海道文化財保護協会,http://turiyamafumi.kitaguni.tv/
資料・図以下、













































































































































































































































  

Posted by 釣山 史 at 08:45Comments(0)トピック